平成22年度 津久志小学校 研修計画
 
<研究の概要>
                                             研究日程
1 研究主題
自ら学ぶ力を育てる指導の工夫
− 算数科の指導を通して −

2 主題設定の理由
本校は,全校児童数13名,学級数4学級の小規模校である。本校の子どもたちは,明るく素直で,指示されたことについては正確にやりきることができる。しかし,少人数がゆえに一人一人の児童に指導者が寄り添いがちで,自分から進んで行動できないという依存的・消極的な面も見られた。そこで,自ら課題を見付け自力で解決したり,学習したことを活用して表現したりするような活動を取り入れてきた。その結果,主体的意欲的に学習に取り組む姿も見られるようになってきたが,自分で考えて,取り組んだり,みんなの前で積極的に自分を表現したりするまでには,まだ充分に至っていない状況である。
本校では,これまで,子どもたちにつけたい力として「生きる力」を揚げ,研究を進めてきた。「生きる力」とは,基礎的な知識・技能を習得し,それらを活用して,自ら考え,判断し,表現することにより,さまざまな問題に積極的に対応し,解決する力であり,それは,自らを律しつつ,他人と共に協調し,他人を思いやる心や感動する心などの豊かな人間性,たくましく生きるための健康や体力等に裏打ちされたものでなければならない。この「生きる力」をつけるために,少人数であることを生かし,基礎学力の定着を図りながら,主体的・意欲的に学習に取り組む力=自ら学ぶ力を育てていくことをめざしている。
少人数であることは,人間関係が固定的になり依存関係が生じやすいこと,学習時において多様な発想による意見の交流が難しいこと等の課題が挙げられる。しかし,逆に少人数であることを良さととらえ,その特性を生かして効果的に指導していくならば,さらに効果の高い教育実践ができると考える。
本校では,少人数学級のよさ・特性を次のように捉えている。
・個に応じる時間と回数・内容の充実が図りやすい。
(少人数なので,個に応じての指導がしやすい。どの子にも目と声をかけることができる。教具などが一人一人に行き 届きやすい。)
・一人一人の活躍の場が多い。
(リーダーとしての活躍の場がどの子にもあり,リーダー性が育つ。)
・全校での活動がしやすい。
(全校での行事や集会などがもちやすい。異学年との交流の場が多く,心の触れ合いができ,学年を越えて強い関わ りで結ばれている。高学年の姿を見て学び,高学年も自覚が力となっている。)
・校外学習・体験学習の充実が図れる。
(少人数なので,体験学習など校外での学習がしやすい。)
・教職員の共通理解ができやすく,指導の一貫性が図れる。
・地域が学校に対して協力的であり,学校と家庭や地域社会との連携がとりやすい。
  以上の特性を生かしながら,効果的な指導の工夫をしていく研究を推進していく。

3 本校の研究推進の成果と課題
  本校では,平成14年度から,算数科を中心に複式教育のあり方や基礎学力の定着を図るための具体的な手だてについて研究を進めてきた。これまでに,学習ノートづくり,学習リーダーの育成,個に応じた支援等について視点をおいて研究をしており,一定の成果を上げてきた。本年度は,来年度の統合に向け複式が解消されているが,これまでの研究成果は通常単学年学級においても役に立つと考え,複式学習のよさ・成果を活用していく視点に立ち,これまでの研究内容を継続していく。具体的には,「学習過程の工夫」「学習ノートづくり」「学習リーダーの育成」の3つの視点を中心に取り組んでいく。
  学習過程の工夫については,担任が全員共通認識に立ち,学習過程の流れをふまえた学習指導計画を立てることができている。また,児童も学習の見通しをもつことができるようになり,児童が「学習の型」「学び方」を習得しつつある。また,「繰り返し」学習により基礎学力の定着に一定の成果が図られた。今後は,教師がさらに学習過程と「指導のプロセス」を意識した指導を行い,思考を深める授業となるように取り組むことが課題である。
  また,学習ノートづくりにおいては,学習の要点や学習の振り返りを書くなど,学習の足跡を残すことができるようになってきている。その内容の質にも向上が見られ,学習内容の定着に役立っていることがうかがえる。モデルとなる書き方の例示を進めること,書いてあることを評価していく基準を明確にしていくことが課題である。
  学習リーダーの育成については,学習過程の工夫や見通しをもたせる工夫により,学習リーダー中心の学習活動ができはじめ,児童の自己学習力が伸びてきている。今後は,児童の実態や発達段階に応じたリーダーノートの作り方も含め,系統的に学習の仕方を身に付ける指導を継続していくことが課題である。
   
4 研究仮説
(1)学習過程の定着を図り,授業の見通しを子どもにもたせるとともに,その学習過程  にあわせた活動場面(「授業のかきくけこ」)を設定する工夫をするならば,自ら学  ぶ子どもを育てることができるであろう。
  ※授業のかきくけこ・・・「考える」「聞く」「繰り返す」「経験する」「交流する」
 
(2)学習リーダーを中心にした学習の仕方を身につけ,工夫した学習ノートづくりをす
   れば,自ら学ぶ子どもを育てることができるであろう。
 
5 研究内容
  (1)学習過程を工夫した指導
@ 「つかむ」「考える」「伸び合う」「深める」「ふり返る」という学習過程の流
 れをふまえた学習指導計画を立てる。
A その各学習過程の中に「考える」「聞く」「繰り返す」「経験する」「交流する」
 場面を効果的に入れながら授業を行い,その効果を検証する。
  (2)学習ノートづくりの指導
     自分の考えをわかりやすく書くノート指導を工夫する。
    ・学習ノートづくり…(学習ノートの原則的な使い方を示す)
    ・ふりかえり…(自己評価の工夫をする。教師の評価として活用する。)
  (3)学習リーダーの育成
    ・学習リーダーを中心にした学習の仕方を身に付ける。
    ・学習の見通しをもたせる手立てを工夫する。

6 検証の指標
  (1)学習過程を工夫した指導
   @年度末実施の学習到達度調査の達成率
   A算数科の各単元実施の学習到達度調査の達成率
B児童の意識調査の肯定的回答の割合
(2)学習ノートづくりの指導
   @教師によるノートの内容分析
  (3)学習リーダーの育成
   @児童の意識調査の肯定的回答の割合
 
7 達成目標
  (1)学習過程を工夫した指導
   @全児童の年度末実施の学習到達度調査の達成率を80%以上
A全児童の算数科の各単元実施の学習到達度調査の達成率を80%以上
B児童意識調査「学習の見通しをもって学習できた」の肯定的回答率80%以上
  (2)学習ノートづくりの指導
   @教師によるノート内容分析による
    「ノートが分かりやすくまとめられている」児童の割合が7割以上
  (3)学習リーダーの育成
   @児童意識調査「自分たちで授業が進められた」の肯定的回答率80%以上
 
8 研究の内容
(1)学習過程を工夫した指導
 
〈学習過程の工夫〉 
  つかむ
・今日のねらい・課題を知る。
・見通しをもつ。
   
  考える
・自分なりのやり方で解く。 
・他の考え方がないか考える。    
            
 伸びあう
・自分の考えと友だちの考えを比べる。
・よりよい考え方を知る。
            
  深める
・学習したことを使って考える。
              
 振り返る
・今日の学習を自分のことばで振り返る。
 
    
 
 
〈直接・間接指導のあり方〉


















 

[一人学習のやり方]
 @問題文を書く。(コピーしたものを貼る。)
 A問題文を読んで,イメージ化する。                     
 B分かっている数と説明を書く。
  (※低学年では,分かっていることと尋ねていること )に線をひく。
 C尋ねていることを書く。   
 Dいろいろな方法で考え,答えを出す。
  ・既習事項を使って
  ・簡単な数に置き換えて
  ・およそどのくらいになるか見当をつけて
  ・ものを使って
  ・絵や図にかいて
  ・自分のことばを使って
  ・式に表して
 E問題文にかえって確かめをする。
 F違うやり方はないか考える。
 G発表の準備をする。
 
 




















 

[集団学習のやり方] 
 @自分の考えがもてたか。
 A自分の考えの根拠を言って話す。
      (※誰の考えか明確にするために,名前カードを貼る。)

  [一斉に考えを出す]
 ・出てきた考えを整理する
    1の仲間
    2の仲間
    3の仲間
 ・それぞれの考えを比べながら
  話し合いまとめていく。 

  [一つ一つ順に考えを出す]
 ・同じ考え方や解き方を関連させて
  発表し,まとめていく。
 1 →1′→1″→2 →2′→2″
※途中のものや分からないものから出 していくようにする。出す順序は,教師がノートやボードに番号を付ける。
  ・同じ考えか違う考えか比較する。
  ・友だちの考えのよいところを見つけ合う。
  ・みんなで考えを出し合い,つけたしてよりよいものにしていく。
  ・互いにヒントを出し合ったり,分からないことを分からないと言い合う。

 B今日の学習を振り返る。
 
 
 
〈自己評価の工夫〉
  〇「振り返る」の過程で,その時間の自分の考え,友だちの考え,先生から学んだことを振り返りながら自分の思考の変容をつかむ。自分の学びを自分のことばで,発   表したり,学習ノートへまとめて書いたりする。                     
   低学年  




 
   中学年  





 
   高学年  
・わかったこと
・わからなかったこと
・考えの変わってきたこと
・友だちの考え方や発表のよいところ

 
・わかったこと
・わからなかったこと
・考えの変わってきたこと
・友だちの考え方や発表のよいところ
・もっと勉強したいこと

 
・わかったこと
・わからなかったこと
・考えの変わってきたこと
・友だちの考え方や発表のよいところ
・もっと勉強したいこと
  ・前の学習と比べて
 

 
同じところ
ちがうところ

 
 
 
〈学習リーダーの育成〉
 
  〇各学年2名・・・進行役と板書役
  〇学習リーダー(学習係)との連携(事前の打ち合わせ)
   ・今日の学習内容を知らせる。
     *問題文
     *学習課題
     *学習の流れ
   ・学習に必要なものを準備させる。
 
☆1単位時間の学習過程を掲示し,全員に学習の流れが分かるようにする。
学習過程       学習リーダーの進め方    教師の支援
つかむ








 
・計算プリントをしましょう。
・できましたか。答え合わせをしましょう。
(・前の時間に分かったことは何ですか。)
・今日は○○を学習します。
・問題を書きましょう。
・問題をよく読みましょう。
・分からないこと(言葉の意味)はありませんか。
・分かっていること,尋ねていることは何ですか。
(・予想を発表してください。)
(・どんなやり方がありますか。)
・計算プリントの準備
・必ず教師が関わり,課 題を明確にする。
・低学年の場合は,課題 把握は,「先生と一 緒にしましょう。」で始める。


 
考える



 
・○分で自分で問題をやりましょう。
 ノートに書いて,確かめをして,ホワイトボードに書きましょう。 できた人は発表の準備をしましょう。
・できましたか。まだの人が多いので,○分まで のばします。
・やめてください。
・タイマーの準備
・一人一人に応じた支援を行う。
・発表が残るような工夫をする。
・発表の順序をノートやホワイトボードに示す。
伸びあう
  
  
  
  
  
  
  
  
  

 
・自分の考えを発表してください。
   分からない人,途中の人
   同じ考えの人
   似ている考えの人
   別の考えの人
・質問や意見はありませんか。(発表ごとに)
・今日,発表し合ったことをまとめると,○○に なりますね。
・今日学習したところは,教科書の○ページです。
 開きましょう。大切な所に赤線をひきましょう。
・ノートの直しや付け足しを書きましょう。
・書けましたか。
・できるだけ教師がつい て話し合いの内容を把 握する。
・そう考えた思考の根拠 を伝えさせる。
・一人一人の発言を価値 付ける。よさをほめ, 励まし,次の学習の方 法を示す。


 
深める


 
・今日学習したことを使って,○分で問題をやり ましょう。
・できましたか。
・答え合わせをしましょう。
・机間指導をこまめにす
 る。

 
振り返る


 
・先生から一言お願いします。
・今日学習したことを振り返って,ノートに書き ましょう。
 
・学習リーダーと全体へ の評価をし,めざす学 習の仕方を示す。
・学習のまとめをする。
 

[発表の仕方]
・○○さんと同じです。
・わたしは○○だと思います。わけは○○だからです。
・○○さんに付け加えがあります。
・質問があります。○○はどういうことですか。
・よく分からないので,もう一度言ってください。
・○○さんの意見と違っていて,○○だと思います。そのわけは,○○だからです。
 
  〇学習リーダー(算数係)への評価観点
   ・全員の意見が出せたか。
   ・全員の意見をしっかり聞けたか。
   ・みんなに分かるようにはっきり言えたか。
 
  〇全体への評価観点
   ・みんなで協力して進めることができたか。
   ・自分の考えがはっきり言えたか。
   ・友だちの意見をしっかり聞けたか。
 
 
 
 
 
〈学習ノート作り〉
  〇学習ノートの役割
   ・自分の成長の足跡を残させる。
   ・教師がつけないときの子どもたちの理解の程度や話し合いの内容についての把握ができると同時に,
    指導を教師自身が自己評価するときの貴重な資料になる。
 

[学習ノートの原則的な使い方]
 @月日
 Aページ数
 B問題
 C自分の考え
  ・式や結果だけでなく,その途中やそうなるわけを絵や図やことばを使って記入する。
   (吹き出しなどを使い,簡単に書く。)
   ・式の後に,何を求めたのか簡潔に書く。 
  ・むやみに消しゴムを使わない。(自分の考えをすべて残す。)
  ・予想や確かめを習慣化させる。
  D友だちの考えと先生から学んだこと
  ・自分の考えに違う色(青)で付け足す。
  ・自分の考えと比べて書く。(「〜さんの・・・と同じ」など)
 E自分の考えの直しや付け足し
  ・違う色(赤)で書く。
  ・大切なところを赤線で囲む。
 F振り返り
  ・できるだけ自分のことばで書く。
  ※上記の自己評価参照
 
☆よりよい書き方を紹介することにより,ねらいが達成されるようにする。また,どの児童も充実したノートづくりができるようにする。
 
 <発表形式>
発表のキーワード(1・2年用)

 1. 〜だと思います。わけは・・・・・・
 2. 
まず,・・・・・・とかんがえて, つぎに・・・・・・
 3. ・・・・・・してみたら・・・・・・
 4. ・・・・・・だから,・・・・・・
 5. 
たとえば・・・・・・
 6. 
もしも 〜 だったら・・・・・・
 7. 
まえに,べんきょうしたことだけど・・・・・・
 8. 
○○さんのかんがえとおなじで・・・・・・
 9. ○○さんのかんがえとちがって・・・・・・
 10.  〜はおなじだけど 〜のところはちがうかんがえです。それは・・・・・・

 
 
発表のキーワード(3・4年用)

 1. これらの例から,きまりを見つけると・・・・・・
 2. 
前に勉強したことだけど・・・・・・
 3. 
前は〜だったので,これも・・・・・・
 4. 
前は〜だったのに,これは・・・・・・
 5. たとえば,・・・・・・
 6. これらの中で,
同じところは・・・・・
 7. これらの中で,
違うところは・・・・・
 8. もしも〜だったら・・・・・・
 9. 
もっと分かりやすいのは・・・・・・
 10. 〜を
当てはめてみると・・・・・・
 11. 全部に言えることは・・・・・・
 12. いつでも使える(当てはまる)ように別の数字を入れてみると・・・・・・
 13. 図(グラフ・表)にかいて考えてみると・・・・・・

 
  
発表のキーワード(5・6年用)

 1.これらの例から,きまりをみつけると・・・・・・
 2.
前に勉強したことをもとにすると ・・・・・・
 3.
前は〜だったのでこれも・・・・・・
 4.
前は〜だったのにこれは・・・・・・
 5.例えば・・・・・・
 6.同じところをみつけると・・・・・・
 7.違うところをみつけると・・・・・・
 8.もし〜とすると・・・・・・
 9.
さらによい方法は・・・・・・
10.このきまりを使うと,さらに・・・・・・
11.いつでも使える(当てはまる)ように,別の数字を入れてみると・・・・・・
12.いつでも使えるように,きまりをつくると・・・
13.これらをまとめてみると・・・・・・
14.記号におきかえてみると・・・・・・
15.○○図(グラフ,表)をかいてみると・・・・・・